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視覚とラジコン⑤「眼球運動のトレーニング」

視覚とラジコンの話も5回目。

先回は動き続ける物を捉え続けるために必要な目の動き「眼球運動」についてのお話でした。

視覚とラジコン④

高い動体視力を得るために必要な「静止視力」「両眼視」はある程度道具で補う事ができますが、「眼球運動」はトレーニングでないと質を高める事はできません。

今回はその「眼球運動」のトレーニングについてのお話です。

眼球運動を鍛えるトレーニング

高さのある操縦台に立ってコースを見下ろすラジコンの場合、求められる眼球運動は、左右の目が常に同じ方向に向かう「むき運動」が主です。
その「むき運動」で、動く物を追い続ける動きである「滑動性眼球運動」と瞬間的に目標を切り替える「衝動性眼球運動」のそれぞれが素早くスムーズに、そして正確に機能する事が求められます。

さて、私たちに体には非常に細かく器用に動く場所があります。それが「手」「舌」そして「目」です。(微細運動と言います)
「手の動き」が思い通りに動かせているか?は目で観察することで確認できます。
「舌の動き」は発する声を耳で聞く事で確認できます。
しかし「目の動き」は直接、観察する事ができませんので上手に動かせているか?を確認する事が難しいのです。

何が言いたいか?というと、眼球運動のトレーニングはただ目を動かせばいいわけではないという事。
トレーニング中の「見え方」に注意して確実に行わなければなりません。

ではトレーニング法を解説しましょう。

衝動性眼球運動のトレーニング

方法は別に決まっているわけではないので、僕がやっている方法ですのであしからず。

スピードではなくて、確実性を意識しましょう。
顔や体が動いてはいけません。目だけを動かしましょう。

  • 両手を肩幅程度の幅で前に突き出し、目の高さに合わせたら親指を立てます。
  • 右の親指の関節のシワをハッキリと確実に見たら、左の親指の関節のシワをハッキリと確実に見る。これを4回繰り返す。
  • 左右の手の幅はそのままで目の高さを中心に右手を上、左手を下(別に反対でもいい)にします。親指は横向きでいいです。
  • 上の親指の関節のシワをハッキリ確実に見たら、下の親指の関節のシワをハッキリ確実に見ます。これを4回繰り返します。
  • 今度は斜めです。左右の指間の距離はそのままで目の位置を中心に右手を右上に、左手を左下にします。
  • 右上の親指の関節のシワをハッキリ確実に見たら、左下の親指の関節のシワをハッキリ確実に見ます。これを4回繰り返します。
  • 逆に左手を左上に、右手を右下にして同じように4回繰り返します。

順番はなんでもいいですが、指に視線を移すだけではダメです。確実にシワが見えたら切り替えてください。

目の向きが指を通り越してから戻るみたいに、視線が迷う感じがあれば上手にできていません。

これを繰り返す事によって、目標(この場合指のシワ)に一瞬でピタッ!ピタッ!と合うようになればいい感じです。
このように自分で感じる見え方が、目の動きのフィードバックになるので、それを頼りにか・く・じ・つ・に!やってください。

滑動性眼球運動のトレーニング

これも同様にスピードではなく確実に見えることを意識してやってください。
顔や体が動いてはいけません。

うまくできていると視界の中で指だけが止まって見えるように感じます。

  • 右手を目の高さで真っ直ぐ前に突き出し親指を立て、指のシワをハッキリと見ます。
  • まずは左右。指のシワをハッキリと見ながら手を水平に左に向かって肩幅くらいの距離を動かします、左に行ったら今度は右に向かって戻っていきます。これを2回繰り返します。
  • 次は上下。右手を顔の真上で目の高さよりだいたい20cmくらい上げます。指のシワをハッキリと見ながら40cmくらい下ろしていきます。下に着いたら下の位置まで上げていきます。これを2回繰り返します。
  • 次は斜め。右手を右斜め上に上げて指のシワをハッキリ見ながら左斜め下まで40cmくらい動かします。斜め左に着いたら右斜めに向かって戻していきます。これも2回。
  • 次は逆斜め。同様に2回繰り返します。

ここまでは必ず目の前を指が通り過ぎるように動かしてください。
最後の仕上げに、顔の前で指で円を描きます。手を伸ばして上に挙げ、そこから鼻を中心に右回り一周、左回り一周。これもシワをハッキリ見ながら行います。

大事なのは速さではなく、スムーズで確実な動きです。

指がガタガタ動いているように見えたり、見失うようだと目が正確に動いていません。

別に左手を使ってもいいし、何か目印になる物を手に持ってもいいし、衝動性眼球運動なら建物の壁に何か目印を決めてやってもいいでしょう。
回数も絶対にこの回数というわけではありません。

重要なのはか・く・じ・つ・に!
そして、毎日続ける事です。眼球運動のトレーニングは案外効果が出やすいです。

ピュアレーシングカーのラジコンはコース上をかなり速く走りますが、離れたところから見下ろすので求められる目の動きそのものは意外とゆっくりです。
なので、トレーニングにスピードはあまり重要ではありません。
でも、トレーニングの成果が出て来ると指を速く動かしても確実に指を追う事ができるようになります。

顔を動かして車を追う、体を動かして車を追う。
人によって見方は様々ですが、多かれ少なかれ目の動きを使っていますので、正確でスムーズな眼球運動は必要不可欠です。

トレーニング効果の実感

約2年前に復帰した時、いきなり1/12ピュアレーシングカーに手を出したわけですが、その時は2セルのLipoバッテリー7.4Vと21.5ターンのブラシレスモーターという仕様でした。(???)

スイマセン。

要するにホームコースのモロテックスピードウェイのサイズだと恐ろしく速いんです。

だからアクセル全開なんてできないし上手に走れないもんだから、すぐにぶつかってばかりで走らせては修理、走らせては修理の連続です。
まぁそれでもメチャクチャ楽しいんですけどね。

これではいけないという事で、走り出す前に毎回眼球運動のトレーニングをするようにしてみました。
毎日じゃないですよ。毎回です。

最初はある一定の方向に突っ張ったような動かしにくさがあったのですが、いつの間にか気にならなくなってきた時にハッと気がついたんです。

「前輪の角度がハッキリ見える!」
「車輪が回っているのが見える!」
「なんだか車の動きが物凄く良く見える!!」

それだけでうまく走れるようになったわけではないでしょうが、間違いなく成果がでていると感じます。
(あと、定期的にあった頭痛が極端に少なくなったのも効果かもしれません。)

今ではモロスピで僕が腕を突き出して何かやっている風景は日常になってしまってだれも突っ込んできません。
今でもそれは習慣になっています。

ぜひ皆さんもお試しになってみてください。

来年の全日本選手権では操縦台に上がる前にみんな目の体操をしていたりして・・・
あ、みんなが速くなると困るので今日の話は忘れてください!(なんちゃって)


そんなわけで「動体視力」について書いてきたわけですが、必要な視機能は「動体視力」だけではありません。

車がハッキリ見えたって、コースが見えなきゃラインをトレースなんてできません。ハッキリ見えたまま壁に突っ込んで行ったらどうしょうもありません。

そんなわけで「視覚とラジコン」のお話はまだ続きます。

つづく!!

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