Q&A

  1. HOME
  2. RC PROJECT
  3. 視覚とラジコン⑦コントラスト

視覚とラジコン⑦コントラスト

視覚とラジコン7回目

前回は周辺視のお話でした。

視覚とラジコン⑥「周辺視力」

どう頑張ってもハッキリと見る事はできない周辺部分。
でも出来るだけ見やすい方が走りやすいはず。

では何か良い方法はないか?というお話です。

コントラストを上げる

コントラストとは明暗の差とか色彩の差とかみたいな感じで、ザックリ言うとコントラストが高いとは境目がクッキリしている事。コントラストが低いというと境目が曖昧みたいな感じです。

コントラストとはなんだ?②

境目がハッキリしていなければ何が書いてあるのかわからないし、ワッカの切れ目の向きもわかりません。つまり、視力の高さとはコントラストの高さとも言い換える事ができます。
ピントがあっていなければ境目がぼやけて見えにくいし、暗いところでは明暗差が少なくなって見えにくいし、紙のバック色と似たような色で書かれた文字は境目が曖昧でよく見えない。
メガネはピントを合わせて対象がハッキリ見えるようにするわけですが、ピントが合っていたとしてもコントラストの低いものは見えにくいわけです。

だったら逆に言えば、コントラストを上げる事ができたらもっと見えるようになるんじゃないか?

カラーレンズという選択肢

ピントが合っていないことによるコントラストの低さはメガネ、あるいはコンタクトレンズをしっかり合わせることで解決するとして、明暗差を上げるには?色彩の差を強調するには?何かいい方法はないものか?

色付きのフィルターを通して見ると、ある色は強調され、ある色は暗くみえるようになります。
例えば赤いフィルターを通して見ると赤色のものはそのまま明るく見えるけど、反対に緑色は黒っぽく暗く見えるようになります。
カラーフィルターはそのフィルターの色の光をそのまま通すけど、補色の関係にある色は通りにくくするのです。(だからフィルターに色がついて見える)
なので色彩のコントラストに影響があります。

また、人には明るく感じる色と暗く感じる色があります。
光の総量は減りますが、明るく感じる色をそのまま通して、暗く感じる色をより暗くできたら明暗のコントラストを強調する事ができます。

つまり、適切なカラーレンズは色彩、明暗のコントラストを強調する事が期待できるというわけです。

黄色いフィルターレンズの効果

「コントラストを上げる」というと「黄色」がいいよと聞いた事があるでしょうか?
黄色は人が最も感受性が高い色です。
そういった意味で黄色いフィルターは感受性の高い黄色い光をそのまま通し、それ以外の色の光が通りにくくなる事で明暗のコントラストが強調されるというわけです。

しかし黄色の補色は青です。つまり、青が特に暗くなります。
私たちは暗くなると感受性が変化して全体的に青が感じやすく、赤が感じにくくなります。(プルキンエ現象)

なので、夜に照明が足りないような暗い場面で黄色のカラーフィルターを使うと、全体的にさらに暗く感じる事があります。
(ブルーライトカットの効果は青色光を減らす事なので、夜暗く感じる事があります。)

光感受性の個人差

じゃあ黄色いカラーのついたメガネ、あるいはサングラスを掛けたらコントラストが上がってよく見えるようになるのか?

というと、みんながみんな同じ反応はしません。
なぜなら感受性には個人差があるからです。

光とは電磁波の一種です。電磁波には色なんかついていませんし、そもそも明るくもありません。
目の奥にある細胞がある一定の電磁波に反応して脳に信号を送ることで「光っている」と感じるわけです。

電磁「波」ですから波です。波には大きさと周期つまり周波数があります。
また、目には明るい時に主に働く「3種類の錐体細胞」と暗いところで働く「1種類の桿体細胞」という感光細胞がありますが、それぞれの細胞は反応する光の周波数が違います。
3種類の錐体細胞は、反応する周波数の違いで「L錐体」「M錐体」「S錐体」とあり、L錐体からの信号を「赤」として、M錐体からの信号を「緑」そしてS錐体からは「青」として脳が処理します。

つまり、電磁波から受けた刺激を脳が「明るさ」と「色」に変換していることで、世界は輝き色づいて見えるのです。

色と感覚

「目」という臓器はいわばセンサー。
人それぞれ大きな個人差があるように目にも個人差があります。先ほど出てきた視細胞のバランス、「L錐体」「M錐体」「S錐体」の数的バランスも実は個人差があります。
そして受けた刺激を処理する神経系や脳にも当然個人差があります。

だから、光の感じ方には大きな個人差が存在するのです。

「視力」の違いも個人差ですが、それは人と比較しやすいので自分でも理解することができます。
しかし、生まれた時から私たちは自分の「目」だけで世界を見ています。他の誰かがどういうふうに世界を見ているか?を知る事はできません。
なので、自分が人よりも眩しく感じているとか、得意な光、苦手な光(つまり色)がある事に気が付くのは難しいのです。

もし自分に眩しさがないと思っていたとしても、人一倍スマホの画面を暗くしているとしたら、実は人よりも光から強いストレスを受けている可能性があるかもしれません。

理屈では黄色いカラーレンズを使うとコントラストが上がるとは言うけれど、上記のように感受性に大きな個人差があるので、それは人それぞれだと言う事なのです。

実際、黄色よりも反対の関係にある青色の方がコントラストが上がると感じる人も結構いるのです。

じゃあ何色を選んだらいいの?

自分に合うカラーフィルターは何色なのか?を知る事はできるのか?

さまざまなテスト法はあるにはあるのですが、身近にヒントがあったりします。

さて、あなたのボディーカラーは何色ですか?なぜそのカラーを選んだのですか?

それが純粋に「自分の好きな色」で「一番よく見える色」だとしたらそれが自分に合う色である可能性が高いです。

小さな時からその色が好きだとしたら、その色が自分の苦手な光(特定の周波数)を減らしてくれる事で無意識に心地よく感じるから本能的に好きなのかもしれません。

つまり、ボディーカラーと同系色の色のカラーレンズを掛けてみたらどうでしょうか?と言う事なのです。

例えばオレンジが好きで、オレンジ色のボディーカラーを使っているとします。
ここにオレンジ色のレンズのメガネをかけると、オレンジ色はよく通して明るく見えてそれ以外の色は暗く見えます。(特に緑色は暗く見えます)

なので、路面に車が浮かび上がって見えるように感じ、白いフェンスもオレンジ色に染まることでよりハッキリと見える(つまりコントラストが上がる)ように感じます。

とは言ってもこれは僕の例。
元々小さな時から赤みの強めなオレンジ色が好きだった事と、星野一義さんが乗っていたカルソニック・スカイラインGT-Rのあの絶妙な青色から強い印象を受けて以降、彩度高めの水色が大好きになしました。

好きな色はよく見えるだろう・・・と言うことでボディーカラーに採用したわけです。
そうしたら確かによく見える。
クラッシュが減ったのに間違いなく一役買っていると思っています。

上の比較画像で「確かに!」と思う人もいれば「色がない方が見えるじゃん」と思う人がいるでしょう。
緑の方がよく見える人もいるし、青の方がよく見える人もいる。
それは「色の感じ方にも個人差がある」からなのです。

また、自分に合う色は他の色よりも眩しさの低減効果が高いので、色を濃くしなくても十分な効果が期待できます。

僕のラジコンメガネ

普段僕が使っているメガネは2つ

といっても一つは普段から掛けている遠近両用

そして操縦の時には「GATORZ」の「MAGNUM」というアメリカネイビーシールズが採用するミリタリースペックのサングラスで、「NXT HCD PLUS VARIA」という薄いオレンジピンクのレンズが装着されているモデルを使用しています。(残念ながら廃盤)

これが僕の目にはよく合っていて、暗い場面でも明るく見えて眩しさも防ぎ、なにより車とフェンスのコントラストが上がって感じます。

また顔に沿うようなデザインで視界が広く、顔を包み込むので下がってくることもないので操縦中の集中力を妨げません。

去年の全日本選手権でも重宝いたしました。

屋内では明るさを出すために、屋外でのレーズであれば路面からの反射を抑える工夫を考えたりとメガネでできる事は単に視覚の補正だけではありません。
元々持っているパフォーマンスを遺憾なく発揮するためにも、最高の車を用意するようなレベルでラジコン用メガネを考えてもいいのではないか?と一レーサーとしては思います。


ラジコン競技を通して視覚についてのお話と、競技力と視覚がどのように関わっているのか?それを高める方法や道具について書いてきました。

ライバルが増えるので、あまり参考にしないでくださいね。

なんちゃって。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

カテゴリー

アーカイブ