ピントを抜くのが難しい・・・【事例紹介】
こんばんは!プラオプ ハセガワです。
いつもの8月1日は花火で有名な長岡花火の前夜祭。大手通りでお神輿が巡り、町が一際暑くなる日。
そして翌日から始まる祭本番にみんなワクワクしている・・・そんな日です。
8月1日、長岡は先の戦争で空襲に遭い、焼け野原になりました。今日はその鎮魂の日。
そうして始まった長岡祭は慰霊の祭です。
だから中越地震があった翌年も例年通りに行われ、東日本大震災のあった年も行われてきました。
しかし今年は新型コロナウィルスの影響により中止です。
またみんなで花火を見物できる日が訪れることを願っております。
さて、今日の本題は・・・
ピントを抜くことが苦手
というお困りについてのお話です。
N様のお困りごとは「パソコンの細かい字が見えにくい」「近付かないと見えない」という事でした。
見えにくいのでパソコンに気がつくと近づいている・・・。
細かく測定をしていくと今の眼鏡の度数がそれほど合っていないわけではない。そして視力も大変よく「1.5」が見える。
1.5の細かさを判断できると言う事はかなり細かいものを見ることができると言うことです。
それだけ遠くが見えると言う事は、近くを見る時にピント合わせをしっかり働かせないといけません。
普通に考えたら「近くのピント合わせの負担が見えにくさにつながるっている」→「近視であれば度数を緩める」と考えがちです。
実際にそうであれば眼鏡での対処法は単純なものです。ピント合わせの負担を取るような度数→「近視度数を弱めた眼鏡」を考えればいいのですから。
しかしN様は「見えにくいから気がつくと近づいてしまう」とおっしゃってます。
ピント合わせの負担が問題であれば近づけば近づくほど見えにくくなってしまうから、離したくなる・・・でも離したら見たいものが小さくなるから見えにくい・・・というジレンマに悩まされるわけですが、どうやら話はそう簡単ではなさそうです。
プラオプ ではどんな若い方でも「近くを見た時の見え方検査」を行っています。
「調節力:ピント合わせ」
「両眼視:両眼の視線合わせ」
「両眼視機能:正しく立体感、奥行き感を感じられているか」
など。人は遠くだけを見ているわけではありませんし、近年は近くを見る作業が大変に多く、近くを見る時に何が起きているのか?が分からなければ快適な「見る」を得る事はできません。
そんな測定メニューで大変重要視しているのが「調節効率」と言われるものです。
これは、「フリッパーレンズ」と言うものを使い、ある一定の距離を見ている状態でワザとピント合わせに負担を掛けたり、負担を抜いたりを繰り返し、それに素早く反応できるか?を見るのですが、それによって様々な事がわかります。
・ピント合わせの柔軟性
・ピント合わせの持続力
・両目の視線合わせとピント合わせの連携
・問題がある場合それが「ピント合わせ」か「視線合わせ」なのか?を鑑別できる
これがフリッパーレンズ
上はピント合わせを刺激するレンズ
下は逆にピント合わせを抜くレンズ
通常はこの±2.00という度数が1分間で12回サイクル以上、理想的には15回サイクル以上クルクル回らないといけないのですが、案の定N様は反応できませんでした。
それも「ピントを抜く」方に反応しないのです。
どうやら原因は「ピント合わせを抜く」事ができない、つまり「ピント合わせが一方通行」なのでどんどん「ピント合わせをしてしまう」事。
余計なピント合わせをしてしまえば、ハッキリ見える距離はどんどん顔に近づいてきてしまい、それに合わせるようにパソコンの画面がだんだんと近づいてくる・・・
原因はその辺にありそうです。
これは「調節力:ピント合わせ力」の量が分かっただけではわかりません。実際にピント合わせを動かしてみないことには分からないことです。
私たちは遠くから手元まで、様々な距離のものを見て生活します。常に止まってはいません。デスクワークばかりしているとは言っても、机周りの様々な物に視線を移し、ピントを変える。そんなことを連続で行っているわけです。
では対策はどうするか?
ピント合わせの力を入れるのが難しいならば、近視度数を弱めるような工夫を考えればいいので、眼鏡の合わせ方で対策できます。
しかし、今回のケースは逆です。弱めのメガネはピント合わせが減る分より近づいて見ることができてしまいます。年齢が増すとそういった対策が必要になってくるわけですが、その前に「調節力:ピント合わせ」の使い方を正常にしないと、今後にも影響が出てしまうでしょう。
なので、ピント合わせのストレッチをして「ピント合わせをするとは、こういう事だ」という事を脳に教えてあげて、その機能が正しく働くようにできたら・・・
さて皆さん、自分の目が自分の思い通りに動いている事を「見る」事ってできますか?手や指先、足などはその動きを「目」で見ることができます。
しかし、「目」の動きを「目」で見る事は基本的にはできません。
ましてや「目の中の筋肉」の動きを観察する事などできるはずがありません。
ピント合わせを正しく行うにしても、「ピントの変化」を感じる事はできますが、それが正しく動いているのかを「目」を見ながら判断する事はできません。
でも筋肉が動くことによって起きるストレスのような感覚は、目の動きのフィードバックとして脳に伝わります。
アスリートは必要とするパフォーマンスを得るために、必要な能力よりも高い能力を獲得して余裕を持っていなければなりません。
そのために、非日常的な負荷を掛ける厳しいトレーニングを行うわけです。
目も体の一部ですから同じようなことが言えます。
今回「ピント合わせを抜く」と言う目の使い方に気がつく為に、非日常的な状態を作るにはどうしたら良いか?
その方法をN様にお伝えし、毎日実践していただきました。そして毎週通っていただいて経過を観察しました。
3回通っていただいてどうなったか?
「調節効率」の測定で±1.50と少し弱い(検査の時点では±1.00が回らなかった)フリッパーレンズでなんと驚きの16サイクル。
もうクルクル回ります。
実際に生活のなかでどうか?というと、パソコンに近づかなくても見続ける事ができるようになったそうです。
今後は近くを見続ける作業が続く場合に「近くの指先にピントが合ったら、遠くのカレンダーにピントを合わせる」というようなストレッチをやっていただくということで終了としました。
「見えにくい」といっても原因はさまざま。原因が様々であれば対処法もまた様々です。
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