色と感覚⑫ーハイブリッド錐体②
さて、錐体細胞の感度がずれるとどうなるのでしょうか?
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同じ色に見える、光の三原色を混ぜて作った「混合色」と、固有の一つの波長による「単色光」を私たちは見分ける事ができません。
だからテレビやスマホの画像はリアルに見えるし、絵の具を混ぜて書かれた緻密な油絵もリアルに見えるのです。
その理屈は以前書いた記事の通りです。
が、ちょっとおさらい。
わかりやすくL錐体とM錐体の差を大きくしてます。
すると下の図の単色光の色と・・・
「原色」の2色を上手に混ぜた光の色は・・・
錐体細胞の感度が同じになるので「全く同じ色」と認識されます。
ではL錐体がMっぽいL錐体(ハイブリッド錐体)だったらどうなるでしょうか?
すると先ほどと同じ状況でも、それぞれの錐体の感度がズレています。
単色光だとこうだったのが・・・
原色2色を混ぜた光の色は・・・
感度が違ってしまいます。
という事は通常の「L錐体」と「M錐体」の組み合わせでは同じ色に見えた「混合色光」と「単色光」が、「MっぽいL錐体」と「M錐体」の組み合わせではそれぞれが違う色に感じることになります。
逆に「MっぽいL錐体」と「M錐体」の組み合わせでは同じ色に見える「混合色」と「単色光」が、「L錐体」と「M錐体」の組み合わせではそれぞれ違う色に感じるわけです。
今までの記事で何度も書いているように光そのものには色はありません。波長の違いを「色」に変換して感じているわけですから「色」とは私たちの頭の中にだけに存在する「概念」みたいなものです。
だから同じ色に見える「単色光」と複数の単色光を混ぜて作った「混合色」は、本来全く違う物であるはずです。
つまり通常といわれる「L錐体」「M錐体」を持っている大多数の人も、波長の違いを感じる事ができない組み合わせがたくさんあるというわけ。
それでも問題がないのは、大多数の人がある色に対して「同じ色」というふうに意見が合うというだけのことです。
「MっぽいL錐体」や「LっぽいM錐体」を持っていたとしても、それは大勢の人が感じることのできない波長の違いを、「色の違い」として認識できる一つの個性や能力と言えるかもしれません。
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