色と感覚⑤ー錐体細胞のお仕事ー
前回のお話は網膜に3つの「錐体細胞」と一つの「肝体細胞」があるよ。「錐体細胞」は3種類あって、それぞれが違う光の波長に反応するようにできているよ。というお話でした。
で「L錐体」と「M錐体」と「S錐体」があるわけですが、光を受けたらいきなりそれを色に変換しているわけではありません。あくまで光を電気信号に変換するのがお仕事です。
当然電気にも色なんてありません。
錐体一種類の感度を考えてみる
例えばL錐体だけを一個取り出して考えてみると、558nmをピークにして下のグラフのように波長によって感度が違います。
単純にL錐体君は感度に応じて電気を出すわけです。
558nmの波長を受けたらフルパワーで出力して・・・
そこから外れたところなら感度に応じて低い出力になります。
上の図だとL錐体君は50%の出力ですが、下の図でも出力は50%
「赤」を受け持つと思われがちなL錐体君は意外と「赤(に見える波長)」の感度は高くないのですね。
受ける波長が違っても出力が同じと言うことならば、この2つを区別することはできません。
下のような画像を見たとしましょう。
目にL錐体だけしかいなくて、L錐体が出力した電気の強さだけを画像にするとしましょう。
出力の強いところは明るく、出力の小さいところは暗くします。
するとこんな感じの白黒画像で表現できます。(正確ではないですよ、だいたいこんな感じってことで)
「白黒で見えている」という意味ではないですよ。あくまで画像の細かい点々ひとつひとつに対して、L錐体が出力するパワーの違いを表しているのです。
では「S錐体」「M錐体」は?
S錐体君の感度グラフはこんな感じです。
S錐体君の感度をさっきの画像で表すと・・・
L錐体君とは全然違いますね。
じゃあM錐体は?
こうで・・・
こう!
3種類で全部違います。
3つの錐体は、それぞれが受けた光の刺激を、それぞれの感度に応じた電気信号に変換して出力します。
錐体の一種類だけを考えると、出力されるのは単に受けた刺激の強弱だけです。
だから錐体細胞のレベルでは、光の波長の違いを色に変換できません。
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