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カメラのお話(番外編)目は世界を逆さまに見ている。

こんばんは!プラオプ  ハセガワです。

カメラの話の続きの前に、ちょっとした疑問をスッキリさせたいと思います。

昔「近視なら景色が目に逆さまに映るのはわかるけど、遠視は逆さまにならないんじゃないか?その辺がよくわからない・・・」という事を言っていた同僚がいました。

僕も当時確かに???と思っていたのですが答えは実に単純だったのでした。

誤解の原因はこの図。

僕も説明の時によく使う図でわかりやすくはあるのですが、「その先」を考え始めると確かに「???」となると思います。

単純に眺めたら「見えている景色が点に収束する」ように感じて、「??これで景色が視界いっぱいに広がる意味がわからん!」となるわけです。

平行光線は自然界に存在しない。

無限の彼方を見ていたら、そこから発せられた光は平行光線として目に入ってくるでしょう。

しかし私たちが見ている世界には「果て」があり、どんなに遠く離れていてもそれは「有限」の距離です。

そこから発射した光は必ず外に広がって行くので、レンズ(ブラックホールの重力レンズ効果や回折という現象は置いておいて)などを使わない限り平行光線を見ることはないのです。

光はどこから出てくるのか?

太陽?

確かに私たちが暮らす世界を照らし出しているのは太陽で、日中の景色は太陽の光が地上のものに反射することによって見えています。

じゃあ太陽の光はどうして生まれるの?

それは巨大な重力により水素原子がくっ付いてヘリウムになるという核融合反応によって生まれた莫大なエネルギーの一部が光として放出されているのです。

それは素粒子の世界での出来事、人が簡単には観察する事ができない大変小さな世界での出来事です。そこで生まれた光は質量を持たないエネルギーです。

夜空に輝く星はほぼ全てが太陽と同じ「恒星」ですから、点に見える星の輝きは素粒子の世界で生まれた膨大な光の集まりといえます。

つまり光の出発点は、極小の点から発せられているわけです。

目に映るとはどういうことか?

太陽から出発した光は地上に届き、何かに当たって跳ね返ります。
普通に見れば単純に「反射」という現象として観察されます。

でもそれは太陽から出た光そのものが跳ね返るのではなく、ぶつかった物の原子にエネルギーを与え、それによって原子から放出された新たなエネルギー=光として出てくるものです。

普通「モノ」は原子の集まり。それが精密に真っ平らに規則正しく並んではいませんし熱がある以上ブルブルと動いています。つまり平に見える物体も原子レベルで見ればかなり凸凹しているという事。

「光」はそんな原子という極小の点に反射しているのですから(鏡でなければ)あらゆる方向に光は跳ね返っていく、まるで極小の点から光が広がって発せられるようになるわけです。

太陽から来た光は空気の粒子に当たって方向を変えた(ように見える)散乱という現象を起こしたり、反射した光は何かに当たればまた反射して・・・を繰り返したりと、実際に「モノ」には複雑にあらゆる方向から来た光を反射する事で「そこにある事が見える」というわけです。

なので「モノの一点一点から光が広がって出ている」と考える事ができます。

そんな光が目に入ってくるということは・・・

例えば「木」を見ていて「木」がそのまま目に映るわけではなく、木を作る極小の点1つ1つが目に映るという事を意味するわけです。

目には2つのレンズが付いています。「角膜」と「水晶体」

カメラのレンズもそうですが、レンズが沢山組み合わされていても、「一個のレンズ」として考える事ができます。

その仮想のレンズの中心を「主点」というのですが、眼球の場合それがだいたい「瞳孔」(光彩に空いた穴)の位置になるのです。

昨日の記事でカメラの「絞り」の話を少し書いたのですが、「主点」の位置に絞りがあると、瞳孔は視界に映らずに光の量だけをコントロールできるのです。

「角膜」「瞳孔」「水晶体」・・・この順番にできている・・・これって本当に偶然なのだろうか・・・

それはともかく「目」の仕組みは本当によくできているというわけです。

話を戻すと、極小の点から出た光の一個だけを見て、それがバッチリピントが合ったら極小の点がバッチリ網膜に焦点となる。

モノはそんな点の集合体なので「点」の一個一個が「見ているモノ」の場所に対応した網膜の一点に焦点を結べば、全体で焦点が合っている=「モノがはっきり見える」という事になるのです。

そして、網膜上には「モノ」は上下左右が逆さまに映るというのはここまでくるととても簡単に理解できます。

なぜ網膜上に上下左右逆さまに映るのか?

さっき出てきた「主点」

ここを中心に上下左右がひっくり返ります。

レンズを通して小さな光の一点が「焦点になる事」「光の進路」は関係あるにしても別に考えてしまえば簡単に理解できるわけです。

「網膜に焦点が合っていない」というのは、小さな光の点一つ一つがボヤけているという事。

近視や遠視(ピントを合わせていない)場合はこうなります。

「主点」が網膜の前にある以上は必ず像はひっくり返って映るというわけです。

カメラも一緒で、フィルム(センサー)には像が上下左右ひっくり返って写っています。デジカメはそれをソフトウェアでひっくり返して正しい向きに直しているし、フィルムは現像するときに上下裏表をひっくり返して現像すれば正しい向きの写真が出来上がるという事。

じゃあ「一眼レフ」のファインダーはなんで正しく見えるのか?その秘密はカメラ本体のおでこの出っ張り。

ここにペンタプリズムという物が入っていて反射反射を繰り返し、上下左右が正しく見えるようにしているのです。

しかし、本当によくできていますよね・・・考えた人天才です・・・

目は臓器でありセンサーです。そこで集めた信号を脳で映像にする。その過程で上下左右をひっくり返し違和感のない映像に直して見ているという、デジカメちっくな事をして人は(生き物は)モノを見ているんですね。

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