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夜が眩しい②:高次収差

こんばんは!プラオプ  ハセガワです。

すごい大雪・・・除雪しても除雪してもあっという間にもっこりと・・・どうか皆様お気をつけてお過ごしください。

(雪下ろしヤダ・・・)

さて、夜の眩しさのお話3回目。

前回はこちら

夜が眩しい①

眼鏡の専門家として、目に正確な焦点を結ばせる事を考えるうえで、個人個人の持つ個性がそれにどんな影響があるのか?

つまり、眼鏡の度数をちゃんと合わせただけでピントがピタッ!!と来るのかどうか?は大変興味がある事ですし、大事な情報です。

なぜならば眼鏡での限界がわかる事、明るさなどの環境による見え方の変化を知る事ができれば、単なる度数合わせだけではない工夫や、場合によっては使い分けがどうしても必要でそれを勧める根拠をお客様と一緒に理解することができると思うからです。

それをデータや画像で示してくれるのが前回紹介しました「波面収差測定器:ZEISS iProfiler+」

そのデータでどんなことが想像できるのか?を考えてみたいと思います。

目は歪んでいる

私たちは同じ人間でも個人個人違う体を持っています。顔も違えば身長も違うし髪質やら肌の色やら指の長さやら・・・とにかく全部違います。

僕は指が短いのでとにかく楽器やスマホの操作がしづらいです。

「目」も体の一部ですから当然みんな違います。大きさだって違うだろうし、備わっているレンズの強さも違う。視力の違いはそんなところも関係しているからです。

そんなロボみたいに正確にはできていな人体で、眼球だけはまるで磨かれた精密なレンズのように正確にできている・・・と考える方が無理があります。

つまり、解説で散々使ってきたこのような画像。

こんなふうに「びしっ!!」っ焦にはならないのです。

近視はこの焦点が網膜の前にずれている状態で遠視は後ろにずれている状態ですが、そのずれた焦点も厳密には「点」ではないと考えた方が自然です。

じゃあどうなっているのか?

「高次収差」

目の光の通路「瞳孔」

この領域を約1500箇所に分け、目に入れた光が網膜に反射して帰ってきた時の場所による時間差を測定し場所ごとの光の曲がり方を測定するのが「波面センサー」と呼ばれる物です。

それを画像にするとこのようなデータが得られます。

赤いところは光の曲がり方が小さく、青いところは大きい部分を表しています。緑はその中間ですね。

眼鏡レンズはどんなに高性能なものを使っても、この複雑な歪みを完全に打ち消すことはできません。この画像は「眼鏡で矯正したとしても残るズレ」を表しているのです。

目には「角膜」と「水晶体」というレンズがありますが、それぞれやっぱりきれいに磨かれた正確なレンズではありません。だから両方を通り抜けて網膜に届く頃には「焦点」と思っていたものは「点」ではなくかなり歪な形をしているというわけです。

上の左側(右目)の例で考えてみると・・・

前から見たらこう

さらに前後にも伸びてこう

通常、眼鏡やコンタクトレンズ などで矯正可能なピントのズレは「低次収差」と言われてます。つまり「近視」や「遠視」や「乱視」のこと。

このような目の構造の個性による複雑な歪みは「コマ収差」「球面収差」「トレフォイル」「クアトロフォイル」「第2乱視」と呼ばれるものが複雑に絡み合ったものでこの部分を「高次収差」と呼んでいます。

これが小さい方がより細かいものを識別できる=眼鏡をかけた後に高い視力が期待できるわけです。といっても上の例の収差でも1.2の視力が出てますので病的なものとは言えない「人の目はみんな歪んでいる」個性の範囲といえるでしょう。ですが2.0まで見たいとなると難しいかもしれません。

明るさによって焦点の形が変わる

さて、今までの説明は「瞳孔が大きく開いている時」のデータでした。

瞳孔が小さくなるとどうなるか・・・

中心の部分の比較的「高次収差」の少ない部分だけを使うので、ほぼ「緑色」ということは綺麗なピントを結ぶ事がわかります。

暗い時、光をたくさん目に取り込むために瞳孔は大きくなります。

明るい時は瞳孔は小さくなって目に入ってくる光の量を減らします。

つまり、明るい時は問題なくても暗くなると見えづらくなるのではないか?明るい時は問題なくても暗い時に光の粒がブワッと見えて見えづらい・・・光に弱い=夜が眩しいという表現につながっているのではないか??と考えられるというわけです。

・・・と2000文字にいきそうな勢いなので、今日はここまで。

こんな風に光を線や点で解析するのだけではなく、「面」として考えられると個人差がある「感覚」を予想することに役立ちます。少なくとも僕はそう感じています。

つづく!

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