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色の濃いサングラスは眼に悪いのか?

こんばんは! プラオプ ハセガワです。

ここ5年くらいでしょうか?日差しが強くなる時期のサングラスの話題でよく耳にする「濃いサングラスは良くない」という情報。

眼鏡に長く携わっている人からしてみれば「なんて古い情報をいまさら・・・」なんて思ったりもしていたりして・・・

暗くなる→瞳孔が開く→沢山紫外線が入る→眼に悪い・・・

という事らしいですが、サングラスレンズって基本「紫外線100%カット」です。

入ってくる紫外線そのものが無いわけですから瞳孔が大きくなろうが関係く「濃いサングラス」でも十分すぎる眼の保護をしているわけです。

「濃いサングラス目に悪い説」では紫外線カットレンズが紫外線を通している事が前提です。

じゃあ、100歩譲って「紫外線を通している」としましょう。

ではサングラスをかけたら瞳孔は本当に暗やみの中にいるほど開くというのでしょうか?

実験をしてみました。

よく晴れた5月22日の長岡市、午後2時

太陽の方を向いて撮影したナカムラ氏の瞳孔の大きさがコチラ

1.76mmです。

同じ位置で濃いサングラスを掛けてみました。

拡大すると・・・

瞳孔が見えません!

でも大丈夫、写真の露出をめいっぱい上げてみましょう。プラオプにはPhotoshopがあるのでこういうのはとても簡単に出来ちゃいます。

ズルをしていない証拠に作業の画面をお見せしましょう。まず、露出(いわゆる明るさ)をなにもいじっていない最初の画面がこれ

露出を上げてゆくと・・・

瞳孔が見えてきました。

さっきと同じように測ってみます。

確かに瞳孔は大きくなっています。

ではどれ位?

1.76mm→2.5mmって言うほど大きな変化でしょうか?この2.5mmの瞳孔の大きさが「開いている」といえるほどでしょうか?

面積比でいえば2.43㎟:4.90㎟で150%です。

晴天のこの時間の明るさは当然環境にもよりますがだいたい35,000ルクス位。

このサングラスが濃度約80%なので、7,000ルクス位まで暗くなっていることになります。つまり明るさは20%も落ちているわけです。

サングラスをなにも掛けない状態で眼が受けている光の量が「100」だとしたらサングラスを掛けたら入ってくる光の量が20%つまり1/5に減っているのですから瞳孔が「150%」大きくなったとしても、眼が受ける光の量は「30」にまで大きく減る事になります。

つまり35,000の30%=10,500ルクス?

曇りの屋外と同じくらいの明るさです。

逆に、このサングラスを掛けたうえでサングラスが無いときと同じ量、眼に光が入るようになるためには瞳孔はどれ位開かなければいけないでしょうか?

明るいときの瞳孔の大きさが1.76→面積2.43㎟でしたから、サングラスによって1/5光が減ったので5倍光が入るようにならなければなりませんから、2.43x5=12.15㎟

これの直径は3.93mmです。

瞳孔が3.93mmの環境ってどんなところでしょうか?

明るさにして100ルクス以下、おおよそですが夜の机の電気スタンドの下より暗く、夜の街灯の下よりは明るい・・・

とにかく夜・・・というレベルの話です。

イメージとしてはどうですか?

「濃い色のサングラス」→「瞳孔が暗やみにいるくらいに大きくなる」・・・とイメージしているかもしれない・・・としたら、現実は「濃い色のサングラスを掛けたところで瞳孔はたいして大きくなってなんかいない」

ということです。

紫外線とはなにか?

光です。

光が減れば当然、紫外線も減ります。

紫外線はなんでも透過するような特別な光なのでしょうか?

むしろ眼鏡レンズのほうが透明なのに紫外線を100%カットしてしまうという「不思議な透明物体」なのです。

ちょっとこの辺は連載にしたほうが良さそうですね。

なのでこのお話の続きにお付き合いください。

  • コメント ( 1 )

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  1. ニュートン

    すばらしい^_^

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