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スマホって目に悪いのか?⑫

こんばんは! プラオプ ハセガワです。

先回は「AC/A比が小さい」場合、20cmで見るという事がどれだけシンドくて、それでも夢中になってしまっていると目にどんな影響がおきてしまうのか?を考えてみました。

スマホって目に悪いのか?⑪

両目で空間を見る。

触れる世界には凹凸があるように、見ているものも同じように凹凸を感じなければ感覚がマッチしません。

つまり、単に「眼球」一個取り出して考えることよりも、空間を目で見て感じるという眼球から始まる「視覚のシステム全体」への影響を考えなければなりません。

そのためには「両目で見ていることへの影響」を無視する事は出来ません。

「目への負担」は単に「ピント合わせ」の負担だけではないと言う事です。

今日は書ききれなかった「AC/A比が大きすぎる」つまり寄り目が起きすぎてしまう目についてです。

「AC/A比」が大きい:より目が多すぎると・・・

今回も目幅6cmの人が20cmでスマホを見ている場合でお話を進めてまいりますが、1m見たときに目幅の6cm以上、例えば10cm自動的に寄り目が起きてしまうようなバランスだったとしましょう。

バランスのよい目であれば以下のように必要な寄り目が自動的におきて、それを補正する必要がありません。

今日の例は「AC/A比=10」

つまり1Dピント合わせを行ったら10△の寄り目が起きる目です。
表にしたらこうなります。

起きすぎてしまう寄り目を「融像性輻輳」を使って目を外に広げながら(虚勢の輻輳=開散)補なわなければなりません。

その開いて補う力は大体「11△~15△」(モーガン標準値)といわれています。

じゃあ仮に12△あったとして、この人は20cmを両目で見る事ができるでしょうか?

20cmで必要な寄り目は「30△」なのに「20△」も余計に寄り目が起きすぎてしまっている。しかし補える量は「12△」しかないわけですから両目で見る事が不可能です。

でもスマホみたい。スマホ超楽しい・・・視覚システムはどうやってその負担から逃れようとするでしょうか?

ピントを合わせないようにする

ピントを合わせるから寄り目が起きてしまうんだから、ピント合わせをしなければいい。

20cmで20△余計に起きている寄り目を最大12△融像性輻輳を働かせても残る「8△」をナントカしたい・・・

1Dのピント調節力を使うと10△寄り目が起きてしまうなら0.8D調節力を緩めれば8△寄り目も減るので打ち消す事が出来ます。

この前の記事で「調節ラグ」といってだいたい0.5Dピントあわせをサボってもハッキリ見えると感じる・・・と書きましたが、さすがに0.8Dではボケてしまう事でしょう。

それでも「融像性輻輳」は限界を使い続けている状態。

それでは「ボヤけて見えるけど一つには見える」か「ハッキリ見えるけどダブッて見える」というジレンマを抱えてしまいます。

これはかなりシンドイ・・・

その負担に耐え切れなくなったらどうなるか・・・

片目のスイッチを切ってしまう(抑制)

片目のスイッチを無意識に切ってしまうことで視界がダブルという混乱から逃れようとする。

これを「抑制」といいますが、こうなってしまうと一生懸命目を離そう離そうとする事をしなくて良くなるので、使っていない片目は内側に入り、いわゆる「内斜視」といわれる状態が現れる事になってしまいます。

実は長々と「スマホは目に悪いのか?」というテーマで続けてきたこの連載で最も書きたかった事はこれで「お子さんがスマホを見続けて内斜視になった」という仕組みはココにあるのではないか?と考えるからなんです。

特に「遠視」を同時に持っていた場合。(特にお子さんの目は「小さい」ので視力が良くても「遠視」が隠れている可能性が高い)

遠視とは遠くを見ている時でもピントが目の後ろにズレている目の事で、遠視が無ければ本当なら何にもしなくても遠くにピントが合うはずなのに、ピント合わせの力を使わないと遠くも良く見えない目の事です。

遠視とは

つまり、遠くを見る時に行っている本来必要のないピント合わせに伴って、自動寄り目「調節性輻輳」が起きてしまっているわけです。だから常にそれに反発するように目を離そう離そうと頑張っている。しかも離す方の力は寄せるほうよりも少ないのでそもそも負担が大きいと言えます。

じゃあそんな目が20cmのスマホを凝視する・・・両目で見続ける事が簡単に出来るわけがありません。

それでもスマホ楽しいからやめられない・・・

じゃあそれが楽しめるように視覚システムが負担から逃れるようにして働く・・・

結果「抑制」が働く・・・

すると遠くを見ている時にも掛かっていた「負担」から逃げて楽をする方法を覚えてしまった視覚システムは普段から「抑制」を働かせるようになる・・・となれば「内斜視」が顕在化して固定化されてしまう・・・

そんな事が起きているんじゃないだろうか?と考えてしまうのです。

小さなお子さんが物凄く近い距離を夢中で見続ける・・・

目の仕組みから掘り下げると、子供ゆえの順応性の高さが間違った方向へ順応してしまい本来の「両目で世界を感じる」という人間に目が2つある理由「視覚システム」の成長に多大な影響を与えてしまいそうで怖いのです。

そう考えると「スマホ」という機械ではなく、ムチャクチャ面白くってやめられない物を物凄く近い距離で見続けてしまう。

そういう部分が視覚システムに多大な影響を与えている。

つまり、文明とエンターテイメントの変化に人の視覚システムが合っていない・・・そんな風に感じてしまうのです。

もうちょっと続きます。

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