レイアウトとは②ー「傾斜角度」ー
こんばんは! プラオプ ハセガワです。
レンズの中心をメガネのどこに据えるか?を決める大事な作業「レイアウト」について。
先回は「PD:Pupillary Distance=瞳孔間距離」について書きました。
眼科処方箋にも記載されるデータですが、上下方向の位置、つまり中心の高さは眼鏡士が決めなければなりません。
しかしこの上下方向の位置というのは実は単純ではないのです。
「傾斜角度」
例えば真っ直ぐ遠くだけを見る眼鏡を作るとします。
望遠鏡は目標に向かって真っ直ぐに構えて覗くように、眼鏡も真っ直ぐ前を向いた視線にレンズの真ん中がビシッ!っとあっているのが理想的なはずです。
しかし、そんな事ってあるでしょうか?
近くのものを見るときには下を向くはずです。
そりゃあ目を全く動かさずに顔だけで下を向けば何も問題はありませんが、そんなロボみたいな事はしません。ザクだって目が下を向きます。
すると視線がレンズの端を斜めに通ることになります。
近くだけを見るのならば、それに合わせた理想の位置があります。
じゃあそうやって作った眼鏡で遠くを見たらこれ、これまたレンズの端を斜めに視線が通ることになります。
ではレンズを斜めに見てしまうことでどんな問題が起きるのでしょうか?
この写真はレンズメーターとって、レンズの度数を測定する機械に-10.00という凹レンズを測ってみたものです。
当然「-10.00」と表示されております。
じゃあこれを斜めにして測ってみると・・・
「S-10.25 C-0.75 AX69」と表示されています。
これは簡単に言えば近視の度数が強くなり、いらない乱視がしっかりと入っている状態です。
つまり眼鏡が視線に対して斜めに掛かっていると、度数が狂うということです。
コンタクトレンズ ならば、目の表面に乗っているのですから目と一緒にうごいて常に黒目の真ん中にレンズの中心があっています。
しかし、眼鏡は顔に固定されるのでそんなわけにはいきません。
むしろ斜めに視線が通ることの方が多いはずです。
それをなくすことは出来ないとしても最小限にするためにはどうするか?
そのために付けられているのが眼鏡を横から見た時の角度「傾斜角度」なのです。
常用眼鏡、つまり常にかけっぱなしの眼鏡はこの傾斜角度を5°〜10°に設定します。
真っ直ぐ遠くを見ている時は視線は水平なので0°としましょう。そして近くを見たときに視線が下へ20°下がるとします。(顔の傾ける角度を差し引いた純粋な視線だけの下がり具合)するとその誤差は当然20°です。
しかし、10°に眼鏡を設定すれば、遠くを見た時の誤差は当然10°ですが、近くを見た時は20°ー傾斜の10°=10°でこちらも誤差が10°になります。
このように大幅な誤差をより小さくすることができるわけです。
もちろん使用する目的がはっきりしている眼鏡はそれに合わせた傾斜角度に合わせた方がいいでしょう。
ですから老眼鏡は傾斜角度が15〜20°ともっと深い角度に設定するわけです。
そういった見え方の質を向上するための工夫としてつけられている傾斜角度によってレンズの中心の高さは、単に真っ直ぐの視線の位置に設定しません。
「傾斜角度」と「頂点間距離」によって真っ直ぐの視線の位置よりもレンズの中心は下げて設定しないと正確な眼鏡にはならないのです。
「頂点間距離」???
次回は「頂点間距離」についてのお話しです。
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