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機械が弾き出したデータに騙されない為に。

こんばんは!プラオプ ハセガワです。

最適な眼鏡を作るにあたって、様々な機械や道具を使うわけですが、「最新式のコンピュータ検査機」・・・これがあれば、簡単に最適な眼鏡の度数が得られるか?といえば、そうではないのです。

今日は実際の事例を交えて、その辺を解説いたします。

これ、「オートレフラクトメーター」といいまして、「度数を測る機械」です。

眼鏡を作った事のある方であれば、覗いた事があると思いますが、「ニデック社」の物は「遠くに気球」が、「トプコン社」のものだと「遠くに赤い屋根の家」だったり、機種によって異なるのですが、遠くにあるような絵を見ている間にピピピピ!っと短時間に度数が分かるのです。

仕組みは赤外線を使って、目から跳ね返ってきた光を頼りに度数を測定するのですが、コレ「極めて正確」です。

ちなみにプラオプのはこれのさらに1.5倍くらいお高い「オートレフ・ケラトメーター」といいまして度数だけでなく、さらに目の表面の形状だけの度数と乱視を同時に測るものを使っています。この目の表面のデータはムチャクチャ役に立つので、プラオプには必須の機能です。

「極めて正確」なら、短時間でパパッと眼鏡が作れるんじゃないの?と思うでしょう?

でもコレで測定されたデータは「目の緊張による影響を受けた状態の度数」が極めて正確に測定されるのです。

つまり、近視であれば本来の度数よりも強く、遠視であれば本来の度数よりも弱い結果が出る事が「よくある」のです。

だから、このままの度数で眼鏡を作るのは大変危険です。

「オートレフラクトメーター」を「覗く」という行為。

目にとても近いところに機械があるという刺激そのものがピント合わせを呼びますし、いくら内蔵されているレンズが「遠くを見ているときと同じ条件を光学的に作っている」としても「近くにあるものを見ているという意識」が働いて目が期待通りに反応しない事も考えられます。

つまり「不自然」なのです。

これは先日のお客様のデータです。

上の段は右目で左側は近視の度数、真ん中は乱視の度数、右側は乱視の角度を表しています。

下の段は左目です。

(なるべく正確な度数を取る為に何回か連続して測定しています。)

これを見ると、左目がとても不安定で徐々に度数が上がっています。

機械が出した度数は・・・

右:近視-5.75 乱視-1.12 角度170度
左:近視-7.00 乱視-1.12 角度6度

といっています。

でも、今掛けている眼鏡は・・・

右:近視-5.50で視力が1.2
左:近視-5.00で視力が1.0

もし機械のデータが正しいのなら、こんな視力が出るはずが無いのです。この時点で機械のデータには余計な緊張が入っている事が推測できます。

もし、予備検査で今の視力を測らなかったら、機械のデータをある程度信用して、そこから度数を求めるような手順を踏んでしまっていたでしょう。

結果、全く合わないメガネが出来上がってしまいかねません。なので、予備検査というのはとても大切なのです。

さて、更にお客様の反応に頼らず、「緊張を含まない度数」を測る方法はないものでしょうか?

実はあるんです。

それが「検影法」といわれるテクニックでなのですが、下の写真のような道具「レチノスコープ」を使って、目に光を当て、その反射した光を観察する事で度数を測るというテクニックです。

これは実際に遠くの目標を、基本的には「両目」で見て、しかも「ボケて見える状態」つまり「見ようとすればするほど緊張を解かなければ見えない」条件で測定するので、「自然な本来の度数を測るにはとても適した状態」で測定ができる方法なのです。

この「検影法」を正確に行うには「実際の距離があり明るさが変えられる検査室」が有効です。

こんな感じで。

それによって求めた度数は以下の通り。

右:近視-4.25 乱視-0.75 角度172度
左:近視-4.50 乱視-1.25 角度25度

・・・

・・・弱い・・・

この時点で今使っている眼鏡の度数さえも「強すぎるのではないか?」という予想が立ちます。

そして、慎重に自覚検査(さまざまな視力標を使ってお客様の受け答えで度数を探る、いわゆる「検査」)を進めて行くと・・・

右:近視-4.50 乱視-0.75 角度170度で視力が1.2
左:近視-4.25 乱視-1.00 角度19度で視力が1.2
両目で視力が1.5

全体的に度数を弱めたのに、今までの眼鏡よりも視力が向上しました。
視力が上がっただけではなくて、強すぎた分余計なピント合わせから解放されて、その分近くを見るのにピント合わせを沢山使えるようになったので「近くがハッキリ見える」という反応が返ってきました。

この余計なピント合わせが近くを見るときの過剰な寄り目を呼んで、さらに見えにくくしていたのです。

このお客様は「ピントを入れる」のは出来ても「ピントを抜く」事がうまくできない状態になっていました。

これは乱視をしっかり合わせていない事と、強すぎる近視の眼鏡を掛けていた事が原因として考えられます。

そこで、単に「合う眼鏡」を掛けるだけではなく、「フリッパーレンズ」を使って本来のピント合わせのスムーズさを呼び覚ますトレーニングを併用して「視覚を整えて」頂く作戦を併用することにしました。

これをしなければ、単に楽に見えるようになっても近くから遠くを見たときにピントが遠くに合わせて上手く抜けず「よく見えない」という事になってしまいます。

話を元に戻して「機械が弾き出したデータ」は今までの強すぎた眼鏡が目を「ピントを入れる」方向ばかり動かす事を癖づけてしまいうことで、「オートレフラクトメーター」のような機械では、緊張が入った度数が測定されやすくなってしまったのではないか?と考えられるわけです。

プラオプでは、可能な限り「検影法」を行っておりますが、けして「オートレフラクトメーター」の値が信頼できないとは思っていません。

なぜそのような数値がはじき出されたのか?測定値がどう変化していったのか?比較して考察する事が重要なデータになるからです。

ではでは!!

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