Q&A

  1. HOME
  2. コラム
  3. レイアウトとは⑥ー遠近両用レンズー

レイアウトとは⑥ー遠近両用レンズー

こんばんは! プラオプ  ハセガワです。

さて「レイアウト」のお話も6回目。

前回は眼鏡フレームのどこにレンズの中心を置くのかを決める「アイポイント」の求め方を解説しました。

レイアウトとは⑤ーアイポイントの決定法ー

レンズの中心はフレームの中心にあるわけではありません。

レンズは元々フレームよりも大きな丸い形をしていて、それをPDとアイポイントによって指定された位置にレンズの中心が来るように削り、フレームに取り付けるわけです。

今日はレンズの場所によって度数が変わる「遠近両用」のレイアウトについてです。

フィッティングポイント

今まで説明してきた度数が一つだけのいわゆる普通の「常用眼鏡」は設定した傾斜角度と頂点間距離によってアイポイントを設定しました。

ところが遠近両用の場合は事情が異なります。

と言うのは真っ直ぐ見ている時は遠くが見えて、下を向いたら近くが見えるように度数が変化するようになっているのではっきりとした「レンズの(光学的な)中心」と言うものが存在しません。

そういったレンズには「フィティングポイント:FP」と呼ばれる「ここを真っ直ぐ前を向いた視線に合わせる」場所が存在して、それを合わせます。

これはニコンの遠近両用レンズです。真ん中の十字がフィッティングポイントです。(上の丸の真ん中ではありません)

これを真っ直ぐ前を向いた瞳の真ん中に合わせてね!というわけです。

この線は出来上がった時に拭き上げて消してしまいます。

なのでフィッティングが終わった状態で真っ直ぐ見ていただき、その瞳の位置にチョンチョンと印をつけて、それに合わせてレンズをセットすればいいのですから簡単ですね!

と、合わせるだけなら簡単なのです。

ところがそれだけではこのレンズが最大限の性能を発揮するとは限りません。

今までレンズを斜めにすると度が変わる、端っこを真っ直ぐ見ると度が変わる・・・と書いてきました。

快適な眼鏡には「傾斜角度」が必要なのですがこの「フッティングポイント」は視線がレンズに対して斜めに交差する事になります。

この時に目に正確な度数が作用しなければなりません。

下の写真は乱視入りのレンズをレンズメータで測っているところです。

「S-4.75 C-1.00 AX180」と表示されておりますが、ここの「C-1.00」というのが眼視の度数です。

このレンズを斜めにして測ってみます。

すると・・・

「S-6.00 C+0.00 AX 0」つまり乱視が消えてしまいました。

正しい度数を斜めにすると狂ってしまうのとは逆に、真っ直ぐではズレたように見える度数が斜めにする事で正しい度数になるようにする事もできるというわけです。

遠近両用のフィッティングポイントはまさにこれを利用して、ある角度で斜めになっている状態で正しい度数が発揮されるように設計されているのです。

レンズの標準パラメーター

ということは、遠近両用レンズには正しい度数が目に作用するために「正しい傾斜角度」そして「正しい頂点間距離」が定めれているということなのです。

この「傾斜角度」「頂点間距離」そして後ほど出てくる「反り角度」をまとめて「フィッティング・パラメーター」と呼んでおります。

そしてメーカーやレンズ毎にそれが決められております。

例えばプラオプ がよく勧めている「カール・ツァイス」のベーシックグレード「SmartLife Progressive Pure」の場合はというと・・・

  • 傾斜角度:7.5°
  • 頂点間距離:12mm
  • 反り角度:5.5°

となっております。

多少前後しても問題はありませんが、これを守れたらメーカーの想定した性能を最大限に発揮できる。遠くも近くもはっきりと見え、比較的広い視界が得られるのです。

なのでもし、10°もズレているようでは本来の見え方を発揮していない可能性があります。

横から見てメガネが上を向いているようではダメダメということです。

そして今、レンズはものすごく進化しておりまして、このフィッティングパラメーターが可変なものも増えてきました。

つまり、お選びいただいたフレームをフィッティングして、その時の「傾斜角度」「頂点間距離」「反り角度」を計測し、それをレンズを注文する際にメーカーに知らせることで、それに応じた設計に直してレンズを作るのです。

高級なレンズはそういった一人一人に合わせて設計を変えることで、より快適な見え方が得られるように工夫されています。

しかし、それとて万能ではありません。

どんなにレンズの設計を最適にできるとしても、メチャメチャの状態にあわせて無理やりレンズを設計するよりも、長年のメガネの歴史によって求められた理想的なかかり具合に合わせてレンズを設計した方が、見え方は良いのは当たり前です。

なので、事前のフィティングでなるべく理想に近づける、そこで起きた僅かなズレやフレームのデザインによって妥協せざるを得なかった部分が妥協しなくてもよくなったというように使うのが正しい。と僕は思っています。

フィッティングパラメーターを逆算する

遠近両用ではない、いわゆる「普通の眼鏡」の場合、アイポイントを求めるの計算を行いました。

遠近両用ではこの計算を逆に用います。

つまり、フィッティングが終わった状態で瞳の位置をとり、その時の「フィッティングパラメーター」が理想的な状態からどれくらいズレているのか?を知ることができれば、あとでその分を調節しておくことができます。

複雑なレンズであるぶんだけ、そのような細かい部分が見え方に大きく影響してしまうからです。


では、フィッティングパラメーターである「傾斜角度」「頂点間距離」「反り角度」をどのようにして測定するのでしょうか?

次回はその測定法についてのお話です。

つづく!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

カテゴリー

アーカイブ