プリズムメガネに対する誤解【黒目の位置がズレる?】
最近「プリズムメガネ デメリット」で検索すると、当店が一番てっぺんに来るみたいです。
で、検索結果の記事を見ていて間違っているなぁ・・・と思う事も。
プラオプではプリズムメガネに対して「特別なもの」とは思っていませんし、必要性があるのであれば普通に作ります。
ただしそれが、お客様のメリットになる。つまりお困り事に直結していてメリットが上回り問題解決の手助けになる場合です。
両目の視線の位置が合わず、ずれた状態になる?
デメリットの中で・・・「両目の視線が合わず、ズレた状態になる・・・見た目の印象が変わってしまう・・・」という項目がありましたが、これは半分以上間違いです。
ようするにプリズムを入れることによって目がリラックスする方向に向いてしまうという意味なのでしょう。
確かにそうです。
でも、メガネ越しにはそうは映りません。
なぜなら、メガネの裏側では目線が真っ直ぐではないかもしれませんが、目線がメガネを通れば真っ直ぐ向くように曲がるわけで、相手の人にしてみれば黒目がちゃんと真っ直ぐ向いているように見えるからです。
相手からの見られ方は、「黒目の位置が変わって見える」のではなく「メガネの枠の中に見えるものがズレて見える」ので、視線は前を向いているように見えており言うほど違和感の無いものです。
そして「斜位」とは、視線がズレてしまっている状態の事ではなく、視線のズレを自分で無意識にずれない様に出来ている目です。基本的には多かれすくななれ、みーんな斜位があるものです。
「斜位=プリズム矯正」ではありません。
あくまで見ることの苦労が「斜位」によって引き起こされている場合に解決策の一つとして「プリズムメガネ」という方法があるのです。
つまり、苦労を手助けするメガネ。
この手助けは1m先で3cmとか、多くても10cm位(けっこう大きい部類です)のもので、仮に10cm動かすプリズムをいれたら黒目がどれだけ動くかといえば、片目で約1.25mmでしかありません。
3cmだったら片目で約0.38mmです。(多くの場合これ位のプリズム量で十分なケースばかりです。)
プリズムメガネをたくさん作ってきた経験から言って「掛けたら黒目の位置に違和感がある」ような見た目になることはほとんどありません。
あるとしたら、一定の方向の強いプリズムの場合に輪郭線の映りこみが大きくなる事です。また強い上下方向のプリズムの場合では目の高さが変わって見える事がありますが、基本的に人の顔は左右非対称で、元々目の高さが違う人などたくさんいます。
「斜視」(斜視と斜位は違います)といって、自分では視線を合わせる事が難しく、片目だけで見ていて、もう片目が違う方向をむいてしまっている状態の人が、プリズムメガネが上手く合い、両目の視線を合わせる事が出来ると、眼鏡越しに視線がキチンと同じ方向を向いているように見えるので、逆に「黒目の位置が正しく向いている」ように見えるのです。
これはデメリットではなく明らかにメリットです。
ちなみにスタッフ ナカムラは外斜位があってプリズムメガネを装用しておりますが、黒目の位置が変わって見えます?
全然違和感ないでしょう?
自撮りなので寄り目になってますけど。
遠近感が変わってしまう・・・
「遠近感が変わって違和感がでる」ことをデメリットというのか?
ちがいます。
何気ない生活のかなで人間は2つの目によって感じる「奥行き」という感覚を使っています。
「遠近感を正確につかめない」事が生活の色々な場面で問題になっているとする。
たとえば運転での距離感やスピード感が分からない、球技が苦手、よくぶつかる、よく物を落とすとか・・・
斜位によって正確に視線を合わせる事が難しく、この「奥行き」の感覚が曖昧なことがその人の問題であるならば、それを整える必要があります。
プリズムによる斜位の矯正はなにも「疲れ」のためだけのものではありません。
「両目の相互作用によって生まれる遠近感を整える」事こそが重要な役割なのです。
つまり「遠近感が変わる」のではなく「遠近感が感じられるようになり整う」ことによる今までの差を感じるのです。
どうでしょうか?それはよい方向への変化なのではないでしょうか?だとしたらこれはメリットですよね。
つまり「普通の遠近感を手に入れて順応するのに時間が必要」なのであって、これをデメリットというのはおかしいと思うのです。
「正しい情報」を得るのは難しいのかもしれない
専門家に取材してそれが記事になったり番組に取り上げられている内容は「取材した人の理解力」以上の情報は得られません。間違って解釈されていたらそのまま伝わってしまうものです。
皆さん目の個性は様々で、百人百通りの困りごとがあります。
それに対して「プリズムメガネ」がうまく問題を解決する事が出来るのならば、最適なプリズムメガネを用意できる技術があることって眼鏡士には当たり前のことで、なにも珍しいものであってはならないんだろうと僕は思います。
以前、身体検査受けた際に、上斜位で規定値を超えてしまい落ちてしまいました。
なので、眼鏡屋さんでプリズム眼鏡を作ってもらったのですが、
この眼鏡は根本的に斜位を直す事はできないのでしょうか?
また、常にプリズム眼鏡を掛ける事によって、元々あった斜位の値より酷くなる事は有るのでしょうか?
こんにちは!コメントありがとうございます。
斜位矯正の眼鏡についてですね。
斜位矯正が無い眼鏡ですと、斜位の分をご自分の力で無意識に(あるいは意識的に)補おうとしている事になります。
その負担が大きすぎ、自分で補うことが困難ですと様々な症状になって現れることがあります。
斜位矯正の眼鏡はその負担を肩代わりする物ですので「眼鏡をかけたら両眼の視線が合わせやすくなる」ものです。
なので、斜位矯正の眼鏡をかけ続けることで、根本的に斜位が無くなるというわけではありません。
常にプリズム眼鏡をかける事によって斜位の値が変わる事はあります。
それは、斜位そのものが増えるというよりも、いつも視線合わせで頑張りすぎていた緊張が、眼鏡によって助けられる事で弛緩し
本来持っていた斜位が現れてくるというイメージですので、際限なく増えるという事ではありません。
後天性の理由で片眼が弱視となり外斜視となった者です。
質問なのですが、プリズム眼鏡を装用することによって斜視の症状を緩和させるという目的より、斜視の見た目を改善させ、視線を合わせることは可能なのでしょうか。
ちなみに弱視の方の目は、視機能がかなり低下しています。
コメントありがとうございます。
プリズムでの斜視矯正は、本来の斜視の量の全てをプリズムで補うわけではなくて、視線を合わせる事ができるところまで視線を曲げ
両眼の視界が近づくことで、融像(両眼の視界を一つにまとめる事)が無意識に働く事を助けます。
その場合実際の斜視のずれよりも少ないプリズムで効果を生むのですが、弱視の程度により融像が難しい場合
外見的に視線のズレを補うためには斜視の量にあたるかなり大きなプリズム度数が必要になる場合があります。
弱視の程度、斜視の方向、程度などによってうまくいく場合とご満足ゆく結果にならない場合がありますので、実際にやってみないとわからない
というのが正直なところです。
明確なお答えができなく申し訳ございません。
プリズムレンズの眼鏡を5年ほど使っています。先日眼鏡を遠近両用にする為新しい眼鏡を購入しました。プリズムレンズを取り扱ってないお店だったので、普通のレンズにもどしたのですが、違和感があってなかなか慣れることができずにいます。
結局もとのプリズムレンズの眼鏡をかけてしまうのです。。。
一度プリズムレンズにしたらずっと続けたほうが目には良いのでしょうか?
こんにちは!コメントありがとうございます。
お持ちの目の個性に対してプリズムがうまく補ってくれることで、単に「見える」という事の先。立体的に空間を感じるという当たり前の感覚が取りやすくなっていたのではないか?と思います。
プリズムは特別なものではありません。近視や乱視にように人それぞれの目のお困りに対してそれを補うものです。
プリズムレンズが快適な生活の助けになっていたのであれば、それを外すことで元のご苦労をしなければならばいとしたら、それはあまり良いことではないように思います。
プリズムレンズにした事がきっかけでプリズムレンズが必要な目になったわけではなく、元々プリズムレンズが合う目をお持ちだったという事なのだと思います。
間欠性外斜視です。弱視や複視の症状はありません。
この場合、プリズム眼鏡をかけることによるメリットはありますか?
こんにちは!コメントありがとうございます。
間欠性外斜視に対して、プリズムにより斜視で無い状態を維持しやすくなる事ができる場合があります。
両目で見る事を維持することに沢山のエネルギーを使っているとしたら、それが軽減されることでエネルギーを節約できるかもしれません。
間欠性外斜視でも人によって程度や困り感は様々ですので、必ずメリットがあるというわけでは無いですが方法の一つとしてプリズムを使うことはあります。
上斜視(3ミリ程度)です。普段の生活ではそこまで困っていませんが、見た目が気になっています。
これを治すためには、外科的手術があると聞いていますが、目にメスを近づけるイメージでやはり怖いです。
そこでプリズム眼鏡というものを知りました。
こちらは①か②のどちらになるのでしょうか。
①掛けてる間だけ治ってるが、プリズム眼鏡を外せば元に戻ってしまう
②長い間掛け続けることによって、斜視自体を治すことができ、プリズム眼鏡が不要になる。
コメントありがとうございます。
プリズムは光の進行方向を変えるものです。
目の向きのズレに合わせて光を曲げることで、両目で見ることを助けます。
ですので、斜視が治るわけではありません。
コメントの中では①が近いです。斜視自体を治すことはできません。
①も少し違いまして、眼鏡越しには視線がこちらを向いているように見えても、眼鏡の裏では視線がズレている状態です。
なので「眼鏡越しでは斜視が直っているように見える」という感じです。
右目で見ている時は左目がズレ、左目で見ている時は右目がズレる、交換性斜視です。
視力は両目とも1.0あり生活には支障がありませんが、見た目と眼精疲労に悩んでおります。
プリズム眼鏡で改善する見込みはありますでしょうか。
コメントありがとうございます。
交代性斜視でも個人差があり、実際に測定を行なってみないとお答えするのは難しいです。
場合によってはプリズム眼鏡+トレーニングを要する事もあるかもしれません。
間欠性外斜視を患っており、近くで30プリズム、遠くで10プリズムほどあります。
2ヶ月後に手術を控えており、それまでの間プリズム眼鏡を処方してもらおうと考えています。
プリズム眼鏡は近くと遠くのプリズム量の間をとって20プリズムで作るつもりなのですが、両目に分けてプリズムレンズを入れるか、片目だけに入れるかで違いはあるのでしょうか。
あさひ様
コメントありがとうございます。
プリズムは両目に振り分けて入れるのと片目に全て入れるのでは大きな違いがあります。
まず、片目に入れた場合、自分の頭の中心と視界の中心がずれるので、正面を向いているつもりでも顔を少しプリズムを入れた方に向けるようになります。
また片方だけに20プリズムという強いプリズムが入ると、大変大きな色収差がおこり視界の鮮明度が左右で大きく異なります。
眼鏡レンズの製作範囲も20プリズムを制作するのは大変難しく、光学的にも無理が生じますので作れるレンズも限られます。
仮に制作出来きたとしても、レンズの鼻側が大変厚くなるので、鼻当てに干渉しフレームへの組み込みにも問題が生じる可能性が大きいです。
両目に振り分ければ片方10プリズムで済むので、そう言った問題はかなり軽減されます。
コメントで懸念するのは遠方の斜視が10プリズムに対して20プリズムを入れるということは、遠方を見るのに対しかなりの過矯正になるということです。
もしその10プリズムが遠方の斜視の全量だとしたら、外斜視にもかかわらず、メガネを掛けると目を外側に開くようないつもと反対の目の動かし方を要求され
両目で見ることができなくなる可能性があることです。
測定値を見ているわけではないので、的外れかもしれませんが、常用される眼鏡をお考えならば遠方の斜視の値以上のプリズムは難しいのではないだろうか?と思っております。
手術までの一時的な装用を考えておられるのであれば、眼鏡に貼り付ける「フレネル膜プリズム」というもので短期間は凌ぐという事も考えられると思います。
いずれにせよ眼科によくご相談いただけたらと思います。
私は元々斜視があり、プリズム眼鏡を3年以上かけているのですが、プリズム眼鏡をかけるのをやめることはできますか?個人的にはかけても外しても違和感はあまりないのですが、プリズム眼鏡をかけるのをやめることによるデメリットやリスクはありますか?
なお様
コメントありがとうございます。
ご自身がプリズム眼鏡を外して困らないのであればそれでいいのではないでしょうか?
決めるのはご本人です。
もし、プリズムをかける事で両目でものを見る事で起きる空間の立体感、奥行き感などが感じられていて、プリズムをかけないとそれが失われてしまう。
または、視界がダブったり両目の視線合わせが原因の疲労などが現れてしまうのならば、掛けていた方がいいのではないか?とは思います。