遠近両用とは特殊な眼鏡なのでしょうか？

こんばんは！　プラオプハセガワです。

令和の最初の日を迎えました。

新しい時代のスタートです！

これからもよろしくお願いします！

さて、そんな新時代の一発目の記事は「遠近両用とは特殊な眼鏡なのか？」について。

先日「遠くが見えにくいから運転用で眼鏡を作ったけど、近くが見えなくて使いにくい・・・」というＭ様。

度数を調べてみると、弱めの近視でした。

近視は眼鏡を掛けないと「近くが見えて、遠くが見えにくい」眼です。

眼鏡を掛けるということは「正視」と同じ状態に近づける事なので、眼鏡を掛けたら「遠くが」見えるようになるわけです。

しかし、手元を見るときは今度、ご自分の持ってるピント合わせ力を使わなければ近くが良く見えません。

さて、年齢が増し40代も半ばに差し掛かるとやってくるのが近くの見え方の変化、つまり「老視」です。

僕も今４５なので絶賛老眼世代でございます。

そんな「老視」がある場合に近視の眼鏡を掛けるとどうなるか？

さっき書いた「ご自分の持っているピント合わせ力」が減ってしまうのがいわゆる「老視」なので、近くが見えないという事になってしまうわけです。

つまり下のイラストのような事。

上は眼鏡をかけない「裸眼」でみえる範囲で、下は「眼鏡」を掛けたら見える範囲がこう変化しますという事です。

Ｍ様は手元を見るにはとても丁度良い近視で、特に生活をする分には多少遠くが見えにくくても支障をあまり感じていなかったようです。

でも、運転を長距離、頻繁にしなければいけないので「遠くが見える眼鏡」を作った・・・。

そうしたら「近くが見えない」となったわけです。

おそらく眼鏡をかけたらどう変化するのか？という説明が足りていなかったので、近くの見え方はそのままに遠くが見えるようになると思われたのでしょう。

専門家にしてみれば当たり前の事も、一般的には当たり前では無いことは沢山あります。ですからこの事例はＭ様のせいではありません。私たち専門家が「メリットとデメリット」をよく説明し、実生活で「どんな変化がおきるか？」をご理解いただくようにしなければならないのです。

「遠くは良く見えるんだけど、メーターや手元が良く見えなくて困る・・・」

ということはＭ様は「近くはそのままで遠くも見えるように」なりたいということですが、それって特別な望みでしょうか？

僕も含めた老視世代なら皆が普通に思う望みではないでしょか？

結論から申し上げれば、僕はＭ様に遠近両用でレンズだけをお求め頂き、入れ替えました。

現状、遠くと近くを一つの眼鏡で両方とも見えるようにする為には「遠近両用レンズ」を使わなければなりません。

仕組みはこのようになっています。

何処を見るのを重視するかによって設計が選べるようになっています。

Ｍ様は「運転で遠くが見えない」という事が眼鏡を作る理由だったわけですから遠く重視の遠近両用を選びました。

レンズは遠近特有の左右のボケが少ないツァイスのレンズです。

僕が遠近両用をメチャクチャ薦めるのは、人にとって「遠くと近くを同時に見るという事は本来当たり前の事だ」と思うからです。

でも、初めて遠近両用レンズを掛けて試していただく時、実は物凄く緊張しています・・・。

違和感の感じやすいレンズだから、大丈夫かな？大丈夫かな？と思ってしまうのです。

しかも今回はメガネがほぼ初めて、しかも遠近両用・・・。

お店にあるテストレンズを組み込んだテストメガネで実際に試していただきます。

大丈夫かな・・・？

大丈夫かな・・・？

・・・

あら？！スタスタあるいてらっしゃる・・・。

なんとも無い・・・むしろ、近くもちゃんと見える！！メーターも見える！と仰ってくださいました。

そして約１週間後の出来上がり・・・

お渡しするときはどんな眼鏡でも緊張しています・・・。

測ったときは良かったけれど、実際にかけたらちゃんと期待通りの効果を発揮しているだろうか・・・？

視力も予定通り、見え方も問題なさそうです！

眼鏡には慣れが必要な事はよくあります。良い方向への変化だとしても「変化」である事には変わりなく、「今までとは違う」からです。だから遠近両用眼鏡が必要であっても最初は普通の眼鏡よりも違和感を強く感じてしまう事もよくあります。

しかし、それを乗り越えて自分のモノにできれば、生活の質を維持、あるいは向上させる事が出来るかもしれません。

そのモチベーションを持っていただくためには丁寧な説明は欠かせないと思っています。

なのでいつも説明が長くてスイマセン。でも皆さん自分の眼のことなので興味を持って聞いてくださっているようでとても嬉しいですね。

・・・

翌日Ｍ様からお電話がありました。

高速道路を運転しなければならなかったそうで使ってみたところ、とても良好だったそうです！（ちょっとドキドキしましたが本当に良かった！嬉しいですね！）
近くも見えるしとても嬉しい！と仰っていただけました。

Ｍ様ありがとうございました！

そんなわけで、近くが見えていたという近視の方の場合、遠くしか見えなくなる普通の近視用眼鏡よりも、遠近両用のほうが普通なんじゃないか？というお話でした。