Q&A

  1. HOME
  2. コラム
  3. レンズの品質ってなんだろう⑦

レンズの品質ってなんだろう⑦

こんばんは! プラオプ ハセガワです。

コチラは今日仕上がったタートオプチカル・アーネルJD-04に偏光仕様のツァイスの遠近両用を組み合わせたメガネです。かっこいいいい・・・。

ちなみにこの場合、レンズはドイツからやってきます。

K様ありがとうございました!

前回はレンズの表面に施された透明感を生み出す微細なコーティング技術について書きました。

でも、新品に時の状態がすぐに失われてしまうような取扱の難しいものでは困るわけです。

つまり「キズ」に強くなければなりません。

今のレンズは本当に良くできていて、反射防止コートは標準装備。こんな高性能なレンズを普通に使っているのは日本くらいなんだそうです。世界的に見れば異常なほどに安く手に入ってしまうくらい私たちには「当たり前」になってしまっている。

先回の記事で何もコーティングをしていないレンズは反射をしてギラついていると書きましたが、要するにキズってコーティングが剥げて下のレンズの表面が部分的に見えてしまっている状態なのです。

実はプラスチックレンズの基材、つまりレンズ本体はキズに強いのです。だからコーティングのしてい無い(基材の表面はハードコートという非常に硬度の高い表面処理がしてあります)プラスチックレンズは火花に強くキズに強いので、火花が飛ぶような現場での用途に適していたりするのです。

つまり、コーティングがより基材に密着してはがれにくく、しかもコーティングそのものに硬度の高さが求められるのです。

最近レンズそのものの設計とともに、そのコーティング技術の進歩が甚だしいです。

今のレンズって皆さん拭いてみてどうですか?すごーーーーくスベスベしていません?

普通になってしまっていますがコレ、摩擦が凄く小さい事からスベスベなのです。摩擦が小さければ表面に付いたものが引っかからずに落ちる。つまりキズに強くなるというわけです。

メーカーにはコーティングのグレードも沢山あって、最上級の物は本当にスベスベです。

そして帯電防止効果まで付いている・・・つまり静電気を帯びないのでキズの原因になる硬い粒子が付着しにくくなっているのです。

そしてそして、コーティングを構成している分子の配列にまで手を加える・・・・

イオンの粒子をぶつける事で、表面に形成されるコーティングの分子をキレイに配列させる・・・イメージとしてはただ石を無作為に積み上げただけでは丈夫な石垣にはなりませんが、お城の石垣のようにキッチリと組み合わされば物凄い丈夫な構造になる・・・。

その結果プラスチックという有機物と基本金属で出来ているコーティングという無機物の密着度が飛躍的に上がり、剥がれにくく傷に強いコーティングを実現したメーカーもあります。

それが「カールツァイス:デュラヴィジョン・プラチナム」

ツァイスの説明によれば、従来のコーティングに対し3倍の強度を誇り、その硬度はガラスレンズに匹敵するそうです。(ただし基材がガラスよりも軟質なプラスチックなので基材に達するような強い力が掛かればガラスに分があると思います。)

しかし、これは実感として感じる事は難しいかもしれません。

なぜならば、傷が付いたときにキズに気が付くわけで、傷がつかなければ何も事件は起きない・・・つまり硬度の高いコーティングは人知れずキズを防いでいるのでその効果を実感として感じるのは、長く使って「あれ?そういえばこのレンズ5年経つけどキレイだな・・・」という感じ・・・そのときには作ったときに選んだコーティングの事は忘れ去られてしまっているかもしれません・・・。

僕はツァイスのレンズを昔から愛用しているのですが、確かにプラチナムは拭き心地が軽く、傷に強いようです。

良い事は分かっているのですが、この辺・・・僕は薦めるのがちょっと苦手です。

それは「絶対に傷つかないわけではない」から、そしてレンズの持ちは「お手入れの差」で大きく違うからです。

だってちゃんとお手入れさえ間違えずにちゃんとすれば普通のグレードでも長持ちしますもん。

・・・

でもどっちがいい?といわれたら・・・

間違いなくプラチナムを選ぶと思います・・・。

・・・

ちょっと話は逸れますが、お手入れに関してもう一個。

超音波洗浄機は推奨しません。
超音波洗浄機は超音波によって発生する衝撃波によって汚れや隅に入り込んだゴミを掻き出すものです。

僕の勝手な考えですが、超音波洗浄機でのクリーニングの「伝統」はガラスレンズ全盛だった名残だと思っています。

無機質のガラス+無機質のコーティングは基本剥がれる事はありません。

だから超音波洗浄機に入れて5分もビービーやってても「レンズには」問題は無かったのです。

でも、プラスチックレンズ全盛の今、それをやるとコーティングの早期の剥がれに繋がります。

毎日やったら多分1年・・・いや半年保ちません。

毎日の水洗い+中性のクリーナーでのお手入れが至高。

隙間に入ってしまった汚れは、月一回、15秒以内の超音波洗浄で十分です。

そして、たまにプラオプに持ってきて分解清掃をさせてください。

プラオプクリーナーがあの分量でお替り自由なのって、お替りのタイミングで超音波洗浄あるいは分解清掃。そして曲がりやネジのゆるみなどのメンテナンスをする為に来店いただきたいからなんですよ。

そんなわけで!メンテナンス!待ってます!

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

カテゴリー

アーカイブ