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メガネをもっと美しく仕上げる為に

こんばんは!プラオプ  ハセガワです。

レンズを加工する・・・。

と言っても眼鏡店がレンズを作って度数を出しているわけではありません。それはレンズメーカーさんのお仕事。

眼鏡店でやっているのは納品されてきたレンズをフレームに取り付ける作業です。

レンズはメーカーからは基本的に丸い形で送られてきます。それを「レンズエッジャー」という専用の機械でフレームの形に削って取り付けるわけです。

この「レンズエッジャー」

フレームの形をピーッとなぞって読み込み、レンズをセットしてポチッとボタンを押せばその通りにレンズを削ってくれるんです。

かんたーん!

今やフレームをなぞる機械を持ってさえいれば、そのデータをインターネットでメーカーに送りフレームの形に削って納品される仕組みもあります。

これを使えば「レンズエッジャー」がなくてもメガネが作れます。

超かんたーん!

なのですが、プラオプ はレンズエッジャーを使います。

簡単な眼鏡の作り方

まず、納品されたレンズをチェックして問題なければ中心を出します。

今回のレンズは遠近両用なので、レンズに見えないように刻印されてるマークが基準になるので、それを透かして印をつけます。

だいたいレンズに印をペイントして来るのですが基本的にズレてます。だから自分で基準を出します。

このレンズは、フリーフォーム内面累進設計というとてもイイレンズです。刻印も裏側に入っているので裏にチョンチョンと印を付けてます。

組み付けるフレームはSpecEspaceのフレーム。

ダミーレンズという飾りレンズを外します。

ダミーレンズはフレームの形を保持する役目がありますので、外すとフレームの形が弾力でグニョンと変わる事があります。

なので、外した後にダミーレンズを乗せてみて、変形があればそれを修正します。これはイイフレームなので全然変化ありません。

それをレンズエッジャーのトレーサー(フレームの形を読みとるところ)にかけますが、その前にモードを変更しときます。

「トレースデータのミラー反転基準」で左右の形を「右を基準にして左はそれを反転させて使う」か?その反対か?あるいは「反転させず左右別々の形をそのまま使う」か?を選びます。

非常に硬いフレームの場合は反転させないし、普通の柔らかフレームは反転したほうが左右対象になりますので、形状、材質などで判断します。

それから読み込ませます。

ヒュイーン!

この、針みたいな部分がフレームの溝をなぞってフレームの形を読み取ります。

フレームが柔らかいとその圧力によってフレームが変形して読み込まれてしまう為、指で真ん中を押さえております。

すると画面にフレームの形と寸法が読み込まれます。

そこに左右のレンズの中心位置(今回は左右で0.5mm差があります)を入力して、フレームに対する相対的なレンズの大きさを設定します。

「コバ形状」とあるところを変えます。「コバ」とは小林さんの事ではなくてレンズの端っこの事。これをどんな形状に仕上げるか?を選びます。

プラオプ のレンズエッジャーの自慢はここの選択肢が多い事。

先代のレンズエッジャーは「標準」という物しかない。つまり選択肢はなく仕上がりは全て一緒でした。

これの何が優れているのか?は後でのお楽しみに。

今回はフレームの形状からカスタムを選びます。

そして断面をフレームに合わせて調節します。

フレームの断面は全て一緒ではありません。

上の図の左側みたいだったらイイのですが、溝の深さも溝の形状も全て微妙に違います。

レンズがストレスなく綺麗に収まるためには、フレームに合わせた形状に削りたいわけです。

で、今回のフレームは上の図でいうところの真ん中みたいな感じ。前は浅く裏が深い。

なのでそれを入力します。深さは触った感じと見た感じで大体わかります。

今度はレンズを治具を取り付けます。これをブロッキングっていうのですが、プラオプ 号には機械にそれが一体化されておりますので、そこにレンズを置きます。

するとモニターには・・・

ガイドが画面に表示され、それに合わせてレンズを正しい位置に合わせてガチャンとレバーを下ろせば正確な位置に治具を取り付けられます。

でもよく見ると、レンズの面が斜めになっています。

これではレンズがズルッと滑って正確な中心に治具が取り付けできませんので、ちょいと調節してレンズが治具に対して平行になるようにします。

でガチャン!!

今のレンズは表面がスベスベのツルツルですので両面テープが加工中に滑ってしまい、レンズがズレて加工されてしまうリスクがあります。

そこでプラオプ は使っておりますのは、機械メーカーNIDEK純正高級両面テープです。

これを裏面にも貼り付けて使用します。

そしていよいよレンズをセットしてスイッチポン!

まずは荒い砥石で一気にいらない部分を削り落としていきます。

ウンガー!!という中々凄まじい音とプラスチックが削れる独特の匂いを発しながらみるみるレンズがフレームの形に近づいていきます。

で、ここで一旦機械が止まります。

センサーでなにやらレンズの厚みや形状を読み取っております。

するとそのデータが画面にレンズの立体図として表示され、どんな角度や位置に山が立つのかを示してくれます。

実はフレームの形を読み込むのは前から見た形だけでは無くて、フレームの湾曲具合、反り角度など三次元のデータとしてトレースしていたのです。

なのでレンズも三次元で考えて最も美しい仕上がりをここで考えます。

フレームの溝の頂点は前から2mm。湾曲具合を3.5カーブに設定してレンズの最も薄い部分は初期値よりも0.1mm前へ、最も厚い部分は0.4mm前になるようにしたい。

その場合最も薄い部分はどうなるか?などなどを全周に渡って確認しフレームにハマった時のイメージを考えながら設定します。

そして続行!

ヒャーン!

レンズの表側と裏側を別々に加工して設定した山の形を刻んでいます。

後ろの方が若干大きく削れております。

山の湾曲具合もいい感じ。

フレームに乗せてみると、ちょっと大きいようなので、少しサイズを調整する再加工を行ってピッタリを狙います。

レンズはハマれいいって物ではありません。レンズが大きすぎればフレームの圧力で変形してレンズの設計が、最悪度数まで狂います。これでは高価なレンズの性能が死んでしまいます。

逆に小さすぎればレンズが拭いただけで動いてしまう。これではレンズの角度が狂ってしまう。これも度数が変わるのと同じような意味ですし、ちょっとした事で外れてしまえば大変です。

サイズの判定は「歪み計」というものを使って確認します。

いいですねー!!ピッタリです。

削ったばかりのレンズは端っこが鋭角になっておりますので「面取り」を行って、仕上がったコバにサッとバフをかけて綺麗にします。

でフレームに思い通りに組み付いたでしょうか?

鼻側は少し内側に、厚みのある耳側はツライチに、湾曲具合もそのまま。

狙い通りです。

レンズは正確にハマっているでしょうか?

水平よし!

 

PDもピッタリ!

度数もいいね!!

嫌気凝固剤でネジの緩み止めをしながら組み立てて、事前に合わせてあるフィッティングに狂いがないか?レンズの反り角度に狂いがないか?あればそれを修正しておきます。

左右の耳の高さが違うので、それも確認しております。

で、完成!!

実はプラオプ 。レンズエッジャーを変えました。といってももう1年は過ぎようとしておりますが。

10年以上連れ添った、以前のエッジャーはすでに保守期間が終了し壊れても直せない・・・。

そして今以上に美しく仕上げる為にどうしても欲しい機能があったという事で思い切ったのですが、結果大変よかったと思います。

プラオプ 号はNIDEKの最新式レンズエッジャーです。でも導入したあとにフラッグシップモデルがモデルチェンジしちゃったので今は最新じゃないですけどね。

フラッグシップモデルはなんとスポーツサングラスのような普通の構造じゃない物まで加工ができるというマシーンでシステムを全部揃えるとベンツが買えます。

スポーツサングラスをメインでやってる先輩は持ってるんですけど、それを生かすためには高度な計算と莫大な試行錯誤が必要なんです。

プラオプ はスポーツサングラスは外注で対応するので、通常の眼鏡をより美しく作れる機能が揃っていればいい。その辺はフラッグシップと変わりません。

プラオプ 号。ベンツとは言いませんが・・・まぁ・・・いい感じの車は買えます・・・。

ボタン一つで加工ができる。簡単ですね!

でも同じ精度、仕上がりになるでしょうか?

ボタン操作で入れ込むデータには手でガリガリ削るスキルとか、何万本も加工してきた経験値が生かされているわけでございます。

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