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レンズの品質ってなんだろう④

こんばんは! プラオプ ハセガワです。

先回、先先回は「製法」をサックリと書いたのですが、「光学性能」を良くするといってもじゃあ「光学性能」が良いとどんなメリットがあるのか?というのは普通に思いますよね。

先々回:レンズの品質ってなんだろう②
先回:レンズの品質ってなんだろう③

この連載の最初の記事では「非点収差」をサックリと書いたのですが、眼鏡レンズの周辺を斜めに見ると「乱視」のような滲んだ見え方をするから、それを打ち消す工夫がされている・・・というお話でした。

レンズの光学は大変複雑で、光を線として考える「幾何光学」では5つの収差「球面収差」「非点収差」「コマ収差」「像面湾曲収差」「像面歪曲収差」・・・なんてのがあって、レンズの設計にはその辺がイロイロ考えられている・・・なにが言いたいかというと「要するに難しい事してるんだー」って事です。

そしてその難しい事は眼鏡レンズを通して物を見たときに「???何?べつになんとも無いけど??」という事を目指しているんです。違和感無く自然に見える・・・この簡単な目標を実現する為に難しい事をしているんです。

ただのツルンとしたレンズの表面は実はそんな複雑な事を考えた微妙な面の組み合わせで出来ているんですね。

パワーエラー

前置きが長くなってしまいましたが、眼鏡レンズで実際に感じやすい性能の違いは2つ。

「非点収差」これは一回目の記事で書いた事です。もう一個は「パワーエラー」といわれるもの。

真っ直ぐ見ている時と斜めに見ている時では、レンズと眼の間の距離が変わります。眼鏡、もしくはハヅキルーペとか、虫眼鏡。何でもいいのでレンズと眼の間の距離をグイーンと変えると見え方は変化しますね。大きくなったり小さくなったり、ハッキリしたりぼやけたり、場合によってはひっくり返って見え始めたり・・・

そんな風にレンズと眼の距離はレンズの強さを変化させます。

その影響がレンズの周辺を見たときに起こるよ!ということです。

こんなふうにして、中心と周辺で度数が変わってしまう事を「パワーエラー」と呼んでます。

非球面設計じゃなくても「非点収差」は除去できる

さて、一回目の記事で書いた「非点収差」斜めに見ると乱視のように滲んでみえるよ!というやつ。

それを打ち消す為に逆の収差をあらかじめレンズに入れておくことでよく見える範囲を広くしよう!というのが「非球面レンズ」だよ!と書いたのですが、じつは・・・

レンズの湾曲具合を最適にすることで「非点収差」を無くす事が可能です。

つまりレンズの度数には最適な湾曲具合があるということなのですが、今度はレンズが厚くなってしまいます・・・。

厚くなるだけならまだいいのですが、レンズの作れる直径が小さくなって実用的なレンズの大きさが作れなくなってしまうのです。

これは度付きスポーツサングラスで作成できる度数に限界がある理由でもあります。

光学性能とは・・・

こんな風にして理想的な湾曲があったとしても眼鏡にするには具合がわるかったり「非点収差」を無くす事が出来たとしても別の問題が出たりするのです。

それは「湾曲収差」つまり視界の歪みがでてしまったり、パワーエラーが出てしまったりと・・・

つまりコッチをたてればソッチがたたず・・・そんな風に全て100点というのは不可能なのです。

そこで、レンズの湾曲のバランスとレンズの面の形を「非球面化」するなどの工夫をしてなるべく様々な要素が高い次元でバランスするような設計をするわけです。

視界の歪みは慣れるとしても(眼球は丸いのに世界は丸く見えません)視界のボケは慣れたところで消えません。

ボケに影響を与えるのが「非点収差」と「パワーエラー」(あとコマ収差)が主なのですが、これは非点収差を減らすとパワーエラーが大きくなり、パワーエラーを減らすと非点収差が大きくなったりとそんな関係です。

しかも湾曲を減らせばレンズは薄く軽くなる・・・

また、フレームのデザインによってはレンズに湾曲が必要な事も・・・

そんな様々な要素を組み込みながら、隅々までクッキリ見えるようなレンズを作るというのはどうでしょうか・・・?

結構大変そうじゃありませんか?

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